甘埼さんのコメントへの回答

評、拝見しました。
まったくもってよくわかります。(ぉ
しかし、あのスチームボールですが、これはスチームパンク世界を描くための
作劇上の大嘘という奴だと考えております。つまり手品師の右手、ですね。
普通に考えればアイスランドで見つけた鉱泉水を使用し、超高圧が長時間続く
夢の機関なんて、熱力学の法則を無視したトンデモな代物なのですが、
もはやあれは賢者の石や聖杯と同レベルの超アイテムなのでしょう。
ストーリー面が弱いというのはまったくもってその通りと思います。
ビクトリア朝の生活も、もっと描写してほしかったと言うのも同感です。
キャラクター描写が全体的に弱いというのも同感ですが、
爺さんのキャラクター造形には異論があります。
人は自分に都合のいいところだけ見がちなもので、嫌な所、
不利益をこうむる部分には目をつぶろうとします。
爺さんも、財団に研究資金を出してもらう段階では好条件にばかり
目が行って、武器商人であるようなところは自分にかかわりの無いことと
思っていたのではないでしょうか?
ところが研究に実現のめどが立ってきて、用途としてそれらのことが
実際に自分にリアリティを持って近づいてきて、初めて拒否反応を示したのではないでしょうか。
これらの予想は、スチーム城に遊園地を作ってしまうメンタリティー
相通じるものがあるように思えます。
また、最後のほうで爺さんと父親が協力して事に当たっていますが、
このシーンはプロットに支配されたキャラクターにはない人間臭さを
感じさせ、なかなか気に入ったシーンでもありました。
とどめに、これが完全な御伽噺、ファンタジーであると確信させられたのは、
もちろん飛行する巨大なスチーム城を見たときです。
だってあの城にはなんら論理的な意味がないんですから。
ただ圧倒的な存在感を示して飛ぶ。まるで魔女の城のようでした。
またあれだけの破壊が行われながら街の住人が死傷するシーンが描かれないあたりも、
悪いほうの手下の死だけが描写される、御伽噺の方法論を導入しているように受け取れます。
そう言いながらも、やはり粗もあった映画なのですが、
それを補って余りあるほど機械と蒸気の描写がすばらしかったと考えております。
特に終盤、スチーム城頭頂部のガラスドーム内に充満していく蒸気の描写などは
実に美しく思えました。
きっと大友監督もしくは演出が蒸気フェチなのでありましょう。(ぉ
記述中にPCが落ちて、急いで書き直したため雑な文になってしまいましたが、ご容赦ください。