宇宙戦争

WOW
監督:スティーブン・スピルバーグ
制作総指揮:ポーラ・ワグナー
脚本:ジョシュ・フリードマン、デビッド・コープ
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:トム・クルーズジャスティン・チャットウィンダコタ・ファニングティム・ロビンスミランダ・オットー、ダニエル・フランゼーゼ
2005年アメリカ<公式サイト

スピルバーグのいくつかのポケットの一つ、
ジョーズ』と同じ系統の作品だった。
とはいえ、見逃されがちなSF監督としての側面も大きく発揮されている。
そして戦争映画の方法論で撮られている。
観賞後、なにかが残るわけではないが、とにかくすごい映画だった。
こんな映画を作れるようになったのかというのが、まず驚き。
そしてスピルバーグだけに映画の構成に問題があろうはずがない。
異常な事態の演出を支えるのは日常のリアリティ。
実に細かいところまで気が配られていた。
映像と演出の緊迫感に圧倒されるが、地味に俳優達の演技もよかった。
トム・クルーズも、顔に騙されるけれども、実に演技が良い。
この主人公の設定は、地味ながら非常に表現の難しい役柄に設定されているが、
作中での主人公の変化、成長が実にうまく、自然に表現している。
冒頭からちょっと格好良いところ、自分中心な嗜好の持ち主であると言うところ、小供達が好きだが、うまく父親を演じられていないところ、その背景、階層、日々の生活にまったく違和感ないキャラクターを演じ上げていた。人間としてヘタレた演技も見せながら、最後には自ら心開くことで小供達と真に打ち解け合う。微妙かつ困難な演技だったと思うんだけれども、そんなことは毛ほども感じさせない。
チィム・ロビンスは言わずもがな。
ダコタ・ファニングは・・・演技の感想じゃないが、見るたびにでかくなるな。
また、この映画は多くの暗喩に満ちている。
レイチェル(ダコタ)がレイの家で指にトゲが刺さったときの台詞、
一見、レイが子供のことを見ていないということを表しているだけのような、
ピーナッツアレルギーの件は、何をいわんとしていたのか。
SFだ、SFだよ・・・
作中、ティム・ロビンス演じるちょっといかれた男が、「大阪じゃ何体かトライポッドを倒したらしいじゃないか」とのたもうた瞬間、劇場にはさざなみのような笑いが起こった。
なお、字幕は戸田奈津子だったが、最後の方までは結構感心する所もある字幕だった。しかし案の定、ラストで軍が攻撃を始めたところでグダグダに。軍事用語がわからないなら、誰かにチェックを頼めよと思う。
で、原作は超有名作品のため小学生の頃から幾度となく読んできたので、結末がどうなるのかは当然知っているわけで、どう料理されるか注目していたが・・・。
そこを原作通りにするなら、トライポッドが昔から埋められていたという設定にはしなかった方がよかったのではなかろうか。いくらなんでも環境調査くらいするだろう。まあ100万年も地中に埋められていたのも、確実な情報ではなかったけれども。
90点。