キングダム・オブ・ヘブン

KOH
監督/制作:リドリー・スコット
脚本:ウィリアム・モナハン
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:オーランド・ブルームエヴァ・グリーンジェレミー・アイアンズ、リーアム・ニースン、エドワード・ノートン、ハッサン・マスード
2005年アメリカ<公式サイト

エルサレムをめぐる十字軍とイスラムの戦いの一幕。
いままででいちばん格好良いオーランド・ブルームだった。
また考証がまったくもってデタラメだった『グラディエーター』と異なり、ほぼ目立った粗がなかった。
歴史的にも合ってる。
ただ、住民を虐殺した十字軍と異なり、史実のサラディンは捕虜を全員開放するような英雄であり、バランスを取るためだろうか、ちと残虐っぽく描かれているのが気になった。
見所はなんと言っても籠城戦だった。特に攻城塔が格好良かった。
ただちょっとブルーム演じる主役の設定に説得力がないのが唯一の難点。
騎士の隠し子で村の鍛冶屋。旅に出た直後に筋はいいと言われていたが、剣の腕はさほどでもなく、統治に関する教育を受けたわけでもなく、みずから学ぶ期間もなかった。特に統率術に関してははなはだ疑問であり、領地で領民とともに開墾に当たっていた描写を持って、統治能力の表現に充てたのだとすれば、いささか監督の見識を疑う。
ブラックホーク・ダウン』で一皮むけた映像美に関しては、今回も見事。粒子を粗くしたり、コマを落としたりやりたい放題。ただ、昔みたいな長回しも、私は嫌いではなかった。
ずっと顔のでないエルサレム王がエドワード・ノートンってのは贅沢すぎる。(笑)
総括すればすばらしく良い映画で、DVDが出たら多分買うだろう。
85点、かな。