Ray レイ

Ray
 ジョージア州の片田舎から出てきた若者レイ・チャールズ・ロビンソンが10年の歳月を経て大スターとなり、夢のようにいろいろな物を得て、いろいろなものを失う話。
 非常に押さえた演出だった。盛り上がる場面や湿っぽい場面を、あえて演出せずに役者の演技に任せている。それゆえに、レイ・チャールズの音楽の良さが、はっきり浮き上がって光り輝いている。
 またこれは人間のドラマである。音楽はすばらしいが、それはすべて自分の力で作り上げた物ではなく、仲間達や、プロデューサーの手助けがあって、磨き上げられた物であることがはっきりと描かれている。それらがいつしか大スターになるにしたがい捨て去られ、孤独になっていく。
 すばらしい映画だった。ジェイミー・フォックスがオスカーを主演男優賞で獲得したのは、まったくもって納得できる。