ローレライ

太平洋戦争最末期広島への原爆投下当日、江田島術科学校にとばされていた潜水艦長絹見少佐は軍令部一課長朝倉の密命を受け、次なる本土への原爆投下を阻止すべく、ドイツから委譲された伊507に乗艦しテニアン島に向かう。艦にはドイツで開発された新兵器ローレライが搭載されており、それによって周囲の状況を精密に視覚的に把握することが出来る。しかし偶然遭遇した米駆逐艦との戦闘での敵艦撃沈後、突如ローレライは機能しなくなり、士官達は軍属のローレライ担当者高須から、その機構の中心が人間であることを明かされる。


久方ぶりに見る海軍の夏服に感動。役所とギバちゃんの敬礼がかなりイケていた。小津安二郎の映画に出てくる元駆逐艦乗りの敬礼に見えなくもない。乗組員が集合しての敬礼シーンは、まるで陸式でイケてなかった。「おも〜か〜じ」という号令やら「かんちょう↑」のアクセントにニヤニヤ。これは・・・かなり・・・イイ。艦内のセットも良い。
ピエール龍は全編出ずっぱりの大活躍。いや、意外と軍曹が似合うなこの男。
しかし作品全体としてのコントロールに難あり。長い原作をつまみ食いしているため、冒頭から説明不足気味にとばしている事を割り引いても、演出の温度管理が出来ていないように思える。盛り上がるところ、静かなところが割と唐突につなげられていて、どんどんと盛り上がっていく感じや、しんみりした感じが心にしみいる暇がなかった。また戦闘シーンなど、演出が加速する場面でもネタの処理が順列なので、緊迫感が薄い。それは最後の砲撃シーンにまで祟っている。
う〜ん残念、もう一歩というのが全体的な感想。
旧帝国海軍が好きだったり潜水艦が好きな人にはたまらない映画だと思う。
最初から無精ひげの役所広司とか、ずっと服がきれいなままの乗組員とか、用途不明のパウラのマントとか、アラが気になる人にはあかんかもしれんけど。
それと、これは潜水艦戦の映画でもなかった。リアル・シリアスな戦争ものを期待すると自爆する。
「椰子の実」の合唱は是非やって欲しかったなぁ。残念。


で、押井監督ファンとしては押さえておかなければならないB-29の機体マーク。はっきりいって角度が悪く、真横から映ったシーンでは小さく画像も荒くされていて、正直見えんかった。富野監督を確認するのは忘れていた。
劇場はガラガラだった。大丈夫か?