ネバーランド

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公式サイト
原題:findingNeverLand
1月16日1時35より千日前セントラルにて鑑賞


人はなぜ映画を見るのだろう?


事前情報なく鑑賞に挑んだ。
なにせTVで流れていた予告編を見ただけであり、公式サイトすらチェックせず、この映画を扱った雑誌記事すら見たことがなかった。デップの役が、一般人の皮をかぶったピーターパンなのだろうかと思っていたくらいである。
まったく違っていた。
ジョニー・デップ扮する劇作家は、このところの作品が続けざまに不評で、スランプに陥っていた。公園で犬を散歩させていた彼は、一人の未亡人と4人の子供たちと出会う。彼らと親しくなり、何かと生活まで助けるようになったデップは、子供たちとのふれあいの中で新しい作品の着想を得る。


よい映画だった。
昨年見た「レジェンド・オブ・メキシコ」「シークレット・ウィンドウ」はいずれもデップの演技自体はすばらしかったものの、作品としてはやや難があった。久方ぶりにすべてが上手くまとまった作品である。
また、最近よく起用されるキャラとは異なるとぼけた優しさ。デップのこの引き出しを開けたのは「妹の恋人」以来じゃないだろうか?
子供たちも良い。古風で育ちが良いことがすぐにわかる話し方。毅然とした物腰。実に良い。
幻想的場面との切り替えも、これを得意とするテリー・ギリアムの「バロン」「ホーリー・グレイル」よりも上手いくらいで、かつ派手でなくて良い。
またこの映画、“演劇”が“映画”の暗喩となっていて、劇場で見ていて実におもしろい。
着想が良く、映像が良く、演出が良く、編集が良く、俳優たちの演技が良い。すばらしい。