デッド・チャン短編集『あなたの人生の物語』(→amazon)読了。

表題作でもある「あなたの人生の物語」「七十二文字」「人類科学の進化」へと至る一連のながれには、いたく感銘を受けた。

おそらく完全言語を扱っているのだと思われる「あなたの人生の物語」。

森岡 浩之『夢の樹が接げたなら』の場合はかなりストレートだったが、こちらはかなりの変化球。

異星人の言語を学ぶことで、過去の記憶がまるで現実のように眼前に蘇るという話なのではないだろうか。

「七十二文字」では唯名論のごとく、”名辞”というものによって支配される世界が描かれている。

唯名論とDNAの解釈をうまく昇華させていると思う。遺伝子と模倣子、ジーンとミームのことなんか考えながら

読んでいると、実におもしろい。

「人類科学の進化」は、人源の脳内アセンブラの話ではなかろうか。面白し。

普段から”言語””コミュニケーション””情報伝達”について考えてるような人間には実に面白い短編集だと思う。

なぜか今年読んだSF作品には神や信仰を扱ったものが多かったが、

「地獄とは神の不在なり」もそのひとつ。

しばしば天使が降臨し、さまざまな現象をもたらす世界。

ある時、降臨現象に遭遇し妻を失った男は自らの信仰に疑問を持ち、

降臨現象を追いかけるようになる。

かなり・・・面白かった。ちょっとブラックだけれども。