スウィングガールズ

ずっと以前、予告編を見て食指が動いた。
が、古い友人の「これはレンタルビデオでええやろ」の一言で候補から外し、
甘崎さん(id:amasakiiori)の「良かった」コメントにより、ふたたび鑑賞候補となった。


何事にもやる気なく、夏休みの補習授業を受ける山形県の女子高生軍団。
彼女たちは野球部の応援演奏をしている吹奏楽部の弁当を届けるために、
補修を中断して汽車でスタジアムに向かうが(ここの線路が単線で、またいい雰囲気)乗り過ごし、
炎天下の線路沿いを歩くこととなる。
真夏の炎天下、弁当をもってひたすら歩く女子高生軍団。
そのとき、彼女たちの持つ弁当のなかでは、何かが深く静かに進行していた。
案の定、その弁当を食べた吹奏楽部員はひとりを除き病院送り。
ただ一人の生き残りは、弁当を届けた彼女たちが自分の分の弁当を食っていたことに気付いていた。
彼に「責任を取れ」とせまられ、応援演奏をすることとなる彼女たち。
しかし彼女たちもおとなしく責任を取るような、殊勝なタマではなかった。
このまま吹奏楽の練習にいいかげんに参加し、あわよくば本番ではボイコット、
うまいこと補修をさぼってしまおうというハラだったのだ。
しかし練習している内に、鳴らなかった楽器が鳴り、仲間と音を合わせていく内に、彼女たちも演奏の楽しさを知る。
吹奏楽には足りない人数を、ジャズのビッグバンドとすることで補い、下手ながらもやる気を出した彼女たち。
しかし本番前日に吹奏楽部の部員達が退院し、彼女たちはお役ご免に。
「補修をさぼれてせいせいしたわ」と捨てぜりふを吐きながらも不完全燃焼な気持ちを持て余す。
やがてテナーサックスが、街の楽器屋で中古の楽器を買い求め、彼女たちは三々五々再び終結する。
そして舞台はクライマックスの市民音楽祭へ!


正直良かった。
むう、このクライマックスは映画館で観るべき作品に他ならない。
しかしなあ、この監督、今時の青春群像劇が実にうまいが中盤があまりにもたれる。
しかしそれすらも内包し、いっさいがっさい取りまとめ、クライマックスで全てを昇華させてしまっている。
ウォーターボーイズ』も良かったけれど〔あれも中盤ヒロインが出てくるまでダレダレだったが)、
この監督の作品は、雰囲気が良い。
なんか粗はいろいろ目に付くんだけれど、見終わるとそれらを粗として指摘できないと言うか・・・
正直な話、私は日頃クラシックかジャズしか聴いていないが、ビッグバンドは好きではない。
しかし劇中の彼女らの元気いっぱいのスウィングは、実に良かった。
なにせサントラを買ってしまったし・・・
スタッフロールの音楽欄にミッキー吉野の名前を見つけて懐かしさに襲われた。