ユンカース・カム・ヒア

しゃべる犬、ユンカース。彼は小学生のひろみに飼われているが、その家は父親は海外を飛び回って留守がちで、母親もキャリアウーマンで忙しい。ある日、ひろみは母親から離婚の話を持ち出される。ユンカースは言う。ボクは三回だけ奇跡を起こすことが出来るんだ、と。

興業に失敗したにもかかわらず、熱狂的なファンによる定期上映運動などでDVD化にこぎつけたこの作品。ずっと前にネットで評判を聞いてから、観てみたいと思っていた。
元々、日常映画は好きだ。今はもうアンテナが立ってないので疎くなってしまったが、昔は何事もない日常を描いたイタリア映画なんかが好きだった。小汚い集合住宅でなんやかやとくだらない揉め事が起きて、世間的には小さな、しかし個人的にはちょっとした事件がおきるような類のヤツ。これもまた日常映画なのだけれども、実写の人間の実体感抜きにこのトーンを出しているのは、ちょっと驚き。望月監督あたりが近いかとも思ったが、まだあっちの方がビビッドなトーンだ。

良作、だが正直なところ、熱狂的に良いとは思わなかった。まあそれは趣味の問題。でも希有な作品であることはわかる。絵がまたパステル調でふんわりしていて独特。佐藤順一監督ってのはARIAの監督なのか。ARIAも割と好きだが、これもまた趣味にぴったりって訳じゃない。しかしこういう作品は、作られ続けねばならんよなあ。
ところでなんでイギリス生まれの犬なのに、ユンカースなんだろう?父親も母親も娘も、どうみてもドイツの航空機メーカーから犬の名前を付けそうには見えないのだけれど。

ユンカース・カム・ヒア
バンダイビジュアル (2001/12/21)
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