たそがれ清兵衛
明治維新直前の庄内藩藩士・井口清兵衛は50石の平侍で、労咳で妻を亡くし、娘二人と年老いた母を内職をしながら支えていた。いつも同僚とも飲みに行かず夕暮れ時に帰るその姿から、いつしか彼はたそがれ清兵衛と笑われるようになっていった。しかしある時、幼なじみの娘・朋江を巡り、朋江の酒乱の元夫と果たし合いをすることになる。真剣の相手に対し木刀一本で打ちのめしたその剣名は、はからずも藩内にひろまり、清兵衛はある男の上意討ちを下命される事となる。
まあなんちゅうか、悪くなかった。
かなり手堅い。それに見せる。さすがに映画というものがよく分かっている監督である。
主演の真田浩之の殺陣も見事ならば、宮沢りえの楚々としながらも芯のある武家の娘の演技も見事。俳優達は一人残らず見事な演技をしていた。
ただ、観ていて気が付いたのだけれども、これは時代劇を装った現代劇である。
現代、といっても70年代くらいのサラリーマンの感覚を、武士の社会に置き換えている。
故にえらくわかりやすいが、重みはない。
しつこいナレーションも、まあ親切なのだが、大いに興をそがれた。
良い作品だが、よりウマイ作品だろう。
75点。