リセット

北村薫『リセット』読了。
『ターン』『スキップ』に続く3部作だが、
前二作が普通に良かった為に積読本になっていた。
私は北村薫作品では円紫師匠シリーズなどの
しっとりとした文体を非常に好んでおり、
自然、北村作品を読むときには大きなサプライズを期待してしまう。
しかし『ターン』『スキップ』ともに良かったものの、普通の出来だった。
だから、良作だろうと予想はしていたものの、『リセット』を読まなかった。
失敗だった。
戦争末期、神戸に暮らす女学生の日常を書いた第一部。
なぜか突然現代の中年男性の述懐となる第二部。
そして実に北村薫らしい衝撃の結末。
すばらしかった。
日々の生活の疲れや暗い気持ちが吹き飛び、
世界が多少、原色の彩りを取り戻したように思えた。